なぜ喜寿に紫色?
高貴なイメージ、位の高い人に許されていた色として、77歳を迎えた方への敬意といたわりの心を込めて。
現代では長寿国家の日本でも、昔は40歳、50歳が終年の時代でした。
江戸時代の国学者、大国隆正による喜寿の詠草にこんな言葉があります。「ななそぢに七つあまれる喜びは/あらたなる御世にあへるなりけり」。この意味は、ななぞぢ(七十路)と7歳、つまり喜寿を迎えるくらいの長生きをすると、新しい天皇の治世が見れる程でとても珍しくもおめでたい、喜ばしいことなんだ、と読んでいるのです。
紫色には、心と体の癒やしの効果がある色です。そして紫色から生まれる高貴なイメージや敬意を、これからも長生きしてほしい、と願いをこめ、喜寿のお祝いにこの色を用いたのだと思われます。
[ 喜寿についてのよもやま話 → 喜寿祝いの豆知識 ]
還暦(60歳)赤・古希(70歳)紫・喜寿(77歳)紫と、古希と喜寿で紫色が続きます。また、傘寿(80歳)・米寿(88歳)と黄色を挟んだ後、また卒寿(90歳)で紫色に戻ります。紫色は長寿祝いのテーマカラーでもっとも多く使用されている色となります。
紫色のイメージ、紫色が与える色の効果
高貴や神秘的なイメージから、不安定などの印象まで深層心理に訴えかける紫色。
紫色の一般的なイメージとして、エキゾチック・芸術・華麗・高貴・高級・上品・神聖・神秘・不思議、などがあります。風水なら気品や個性的・神秘的といったイメージがあり、仏教では魔除けの色といわれています。
ただ、マイナスのイメージとしては、不安定・下品・孤独など、神秘や高貴・優雅といったイメージとは反する二面性を持っています。
高貴・神秘に近しくは、占いや水晶など、ミステリアスなもののイメージとして紫色が描かれることも多く、深層心理に訴えかけるカラーともいえます。
紫の名前の由来
紫草という植物の根から染料を作り出したことから、紫草から染色された色を『紫(ムラサキ)』と呼ぶようになりました。
紫草の栽培は当時の技術では困難であったことから、この色は珍重され、古代中国や律令時代の日本では、紫は高位を表す色とされ、皇族やそれに属する者にしか使用を許されなかったといわれています。
「紫色」の英語に相当する語句が”purple”ですが、もともとこの単語の語源は、Pirpiraと呼ばれる巻貝の腺より染料を取り出し、染色する技法が確立したことに始まります。日本と同様、結果としてできたこの色をpurpuraと呼ぶようになりました。
巻貝1個から出る分泌液はわずかであり、1グラムの染料を採取するためには、1000個から2000個ほどの貝を要したとされ、この染色布はとても貴重で、ローマ帝国の頃より西洋では高貴な身分の者など、ごく限られた人間しか得られない色だったのです。古代より、ユリウスはこの色のマントをまとい、クレオパトラは紫の帆に金銀の櫂を持つ帆船を造るなど、歴代の皇族や皇帝、王などに許されたこの色は高貴と位置づけられるようになりました。
日本でも紫は「瑞祥(ずいしょう)」の色とされ、冠位十二階最上の「大徳」を紫と定め、日本史上はじめて色に尊卑を与え序列立てました。現在でも、僧侶が紫の衣を身につけることができるのは最高位の僧侶に限られており、こうした考え方が一般となり、紫は気品や風格を備えた色として尊ばれるようになっていきました。
ただ、マイナスのイメージとしては、不安定・下品・孤独など、神秘や高貴・優雅といったイメージとは反する二面性を持っています。
高貴・神秘に近しくは、占いや水晶など、ミステリアスなもののイメージとして紫色が描かれることも多く、深層心理に訴えかけるカラーともいえます。
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(紫)
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(purple)(赤紫) | 紅と紫の中間色。
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(マゼンタ)
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(青紫)
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(深紫) | 黒っぽい紫。日本の律令制で規定。
(浅紫) | 赤みをおびた薄い紫。日本の律令制で規定。
※英語の“purple”は、紅みがかった紫を指す語で、日本で言う所の京紫。